満月の夜の息抜き

誰かに話す必要がないことたち。

物語の究極な形「ごんぎつね 」

ごんぎつねの物語構造

書き手・話者である『大人の私』と読み手である子供

 - 大人になった私が、読者におじいさんからきいた話を伝える

   - 小さい頃のわたしが、村の茂平というおじいさん(大人)からきいたこと

   (⇨ リアリティを生み出す手法)    

    - ごん、兵十、etc.

 - これを読む小さな『読者』が伝える側の『大人の私』となり、この物語は受け継がれ続ける。

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物語文学の基本運動

文章の中にわざと書かれている。

この一文が、

これは、私わたしが小さいときに、村の茂平もへいというおじいさんからきいたお話です。

素晴らしすぎる。

この話をどういう意味と捉え、どう伝えるのかは「主題」として『読者』に委ねられているが、内容がまた色々なことを伝えてくれる良い内容。

このように大人からこどもに口承されているという体裁からさっするに、とても教訓とすべき内容が入っていること推測させる。

物語の内容

物語の内容はとてもシンプルかつ明確で、現在の私たちにも共感を持って伝わる素晴らしい文章。

  • 「ひとりぼっち」が引き起こすドラマである
  • さみしさから生じる関係性はどんどんねじれていく
  • 白黒はっきりすることのせつなさ

が、なんとも日本的だと思ってしまう。

ごんがはじめから永遠に満たされないひととして存在していることへ理不尽さやこっけいさを書くことで救われたい、つまり共感されたいということが、 すべての発端となっている。

ひとは共感されたい生き物なのだ。