満月の夜の息抜き

誰かに話す必要がないことたち。

メンタル・ブロックバスター

「メンタル・ブロックバスター」を読んで印象に残ったこと

大前研一さんが監修監訳した、ジェイムズ・L・アダムス著のこちらの本。

多分古くからある。

右脳と左脳の話などほかでもよく聞く話はもしかして、少なからずこの本がその発端となっているのかもしれない。

この本を読んで、問題の捉え方の偏重や普段自分が陥っているであろう盲点に気がつけた。

問題の範囲を狭くしすぎる傾向

次に問題が発生したときには、こうやって解決してみよう。同じ問題を三種類以上、別々の形で表現し、それぞれについて考えられる答えを出してみる。

たとえば、あなたは三十代後半で、子供は学校の高学年、夫は仕事で一定の評価を得ているが、あなた自身はこの生活に退屈しているという状況を仮定してみよう。(練習問題6)

この場合の問題設定は、「現実の世界との関係をうまく結べない」と表現できる。あなたは解決策として、知人を通して、面白そうな会社に勤務する魅力的な若手のエリート社員の下で働くことになったとする。新しい生活を始めて数日後、問題を別の言い方で表現していたら、果たしてどのような解決策が見つかっていたかを考えてみよう。

1.問題は「日中の退屈を解消することができない」と表現できるかもしれない。

  • 解決策は、例えば工芸教室に通うとか。

2.問題は「育児と家庭を築く段階がある程度落ち着いたため、家事は、やりがいのある生産的な仕事ではなくなっている」と表現できるかもしれない。

  • 解決策は、自分にとってのゴールを思い巡らし、一番いい方法はなにかを決めるのに多くの時間を費やすことになるかもしれない。そしてその結果、大学で法律を学ぶという可能性もある。

3.問題は「助成に対する固定観念により、自由で充実した生き方が阻害されている」と表現できるかもしれない。

  • 解決策は、知人、専門家、教育関係者、その他の人たちと話し、大きな社会問題が存在するという結論に至る。

 

ある問題を、それに関係するすべての人間の視点からみることは難しい。しかし複数の視点から問題を見てみるということは、より多くの利害関係者を満足させるという意味で、よりよい解決策につながるだけでなく、発想自体にも大きな影響を与える。

また、エドワード・デボノがその著書「水平思考の世界」で述べた「垂直思考」「水平思考」の紹介がとても印象深かった。

多様な観点から問題を見ることができない

論理は、穴を深く大きく掘るための道具のようなものであり、よりよい穴を掘るために使われる。けれども、穴が適当でない場合にあれば、いくら良くしようとしてもよくならない。たとえそれがいかに明白であったとしても、新しい場所にまた掘り始めるよりは、続けて掘っている方がまだ楽である。垂直思考は同じ穴を深く掘っていくことで、水平思考は他の場所を試すことである。

どこを掘ろうかうろうろしているよりずっとましではあるものの、

多くの穴が中途半端な深さで間違った場所に掘られている。掘りかけの穴を途中で放棄して新しい場所を掘り始めたときに、はじめてヒラメキが得られると指摘している。

飽和状態

実物をみないで、テレビのリモコンの操作ボタンの絵を描き、文字と番号を正しい場所に記入してみよう。(練習問題8)

問題解決において、飽和状態にならないように注意が必要な状況として、情報が時々しか入ってこない場合、あるいは大量の不要な情報の中に必要な情報が紛れ込んで入っている場合が挙げられる。この例としては、軍事あるいは航空管制で使われるレーダーの情報や航空機や自動車を長時間、通常の状態で運転したあとに突然やってくる不測の事態などがあるだろう。

また、美術学校で、視覚的な飽和状態というものが問題となる。学生に対して、見落としているもの、見過ごしているものを教え込まなくてはならない。 

 

壁を破る方法

思考言語を使い分けよう

  • 言語
  • 数学的思考
  • 視覚的思考
  • 感覚的思考

視覚的想像をコントロールする能力の伸ばし方

次の光景を想像してみよう

  • 沸騰して吹きこぼれるポットのお湯
  • ボーイング747がターミナルを離れて滑走路に向かい、二・三機の飛行機が飛び立った後にゆっくりと離陸する
  • 走っている牛が、ゆったりと駆ける競走馬に変身する
  • 顔見知りの老人が、十代の若者に戻っていく
  • フルスピードで走る車が、巨大な羽毛枕に衝突する
  • 今までの光景の逆を想像する

 想像力を強化する方法とは、「方向づけられた空想」と名付けられている。幅広い創造活動を経験することによって、多くの方向から空想することを求められ、想像力をフルに働かせることで、自分が普段意識していない想像上の壁に直面する。アイデアの想像にあたって視覚的なイメージを利用することに慣れるようになる。

  • どんなに下手でもよいから、絵を書くという技術を補助手段として使って、他の人に指示を出してみる。必要な場合は紙と鉛筆を用意する。

視覚的なイメージは、発想する上で非常に重要なツールである。自分の視覚的イメージに関する能力と限界を把握し、状況に応じて、思考プロセスで視覚化を行ってみることが望ましい。

感覚的言語をコントロールする方法

最後に以下の2つの練習方法がとても印象に残りました。

次の物を想像して、はっきり浮かぶ、ぼんやり浮かぶ、何も浮かばない、のいずれかに区分してみよう。

  • 友人の笑い
  • 雷の音
  • 馬が道を歩いている音
  • レーシングカーの轟音
  • 水に濡れた草の感触
  • 妻、夫、恋人あるいはペットの肌触り
  • 冷たいプールに飛び込んだ感触
  • 鼻水の出る感じ
  • パンの焼ける香り
  • 魚の匂い
  • ガソリンの匂い
  • パイナップルの味
  • タバスコの味
  • ロープを引っ張っているときの筋肉の感じ
  • 岩を投げている時の筋肉の感じ
  • 走っているときの筋肉の感じ
  • 寒くて不愉快なときの感じ
  • 食べ過ぎたときの感じ
  • とても幸せなときの感じ
  • しつこくしゃっくりが出るときの感じ

 

次に、さまざまな感覚的イメージをコントロールしてみよう。

  • 寒くて不快な感じから、暑くて不快な感じに
  • 友人の笑いから、雷の音に
  • 濡れた草の感じから、妻、夫、恋人あるいはペットの肌さわりに
  • 魚の匂いから、ガソリンの匂いに
  • ロープを引っ張っているときの筋肉の感じから、ボートを引っ張っているときの筋肉の感じに

 そして、さまざまな感覚を組み合わせたイメージを明確にし、コントロールすることを訓練する。

「まず目を閉じて、気持ちを楽にする。自分の中に注意を向ける。

それでは、りんごをたべるというありふれた光景を想像してみよう。その場の雰囲気と細かい部分をゆったりと思い浮かべる。それから、手の平にあるおいしい、身のしまったりんごを想像する。りんごの冷たさ、重さ、堅さ、丸み、つるつると滑らかな表面を感じる。軸を探ってみる。細部を観察し、傷み具合を見る。陽の光を受けて輝くりんごの表面、皮の筋、点、さまざまな色合いを見る。口の中につばが貯まるまで想像する。

さて、りんごにかじりつく。その音を聴く、きめの細かさ、風味を味わう。りんごの甘い匂いを嗅ぐ。ナイフで切って中を見る。細かいところを見たら、時々全体にも目を向け、穏やかな風を感じて、形や空間といった立体感も意識する」

今見ているりんごのイメージはどうだろうか。前よりもはっきりしてきたが、まだ鮮明なイメージと言うわけにはいかないだろう。なぜなら、あなたはリンゴがどのようなものであるかを本当は知らないからだ。私たちはりんごをたくさん食べてはいるが、しげしげと見たことがどれほど位あるだろうか。大抵の場合、りんごを食べながら他のことをしている。話したり、読んだり、考えたり。すべての感覚を使ってりんごを見る事は無い。

ここで、参加者にりんごを配る。食べても良い。話はしないように。りんごと自分の感覚に意識を集中する。りんごを食べる前にしばらく観察する。その形、重量感、色、模様を見る。温度、手触り、硬さ、重さを感じる。全てを観確認した後で1口かじる。聞く、家具、味わう、感じる、すべての感覚を使ってゆっくりと。(今食べたりんごがお腹の中で消化されている。りんごはあなたになる。自分が食べたりんごは自分であることを想像してみよう。りんごの気になるりんごになったところを想像してみよう。深く息を吸い込む。息を吐き、吐きながらリラックスをする。雑念を消す。意識を全て集中してリラックスした気分で、田園地帯にある美しいりんご畑に生えたリンゴの木のリンゴの実になったと楽しく想像してみよう。楽しい。肌に暖かい陽の光が感じられる。優しい風が感じられる。空は真っ青だ。陽の光があなたの中に差し込んでくる。あなたのなっている木の葉が風にさわさわ言っている。味がいっぱいになったりんご畑の甘酸っぱい匂いがする。自然の一部になったようだ。

ここで、時計と反対方向に時間を進めてみよう。あなたはりんごで、時間逆戻りして、小さく、小さく、緑色になり、酸っぱくなる。さらに小さくなって、りんごの花になった。りんごの木のたくさんの花の1つになった。りんごの花の豊かな香りがする。あなたの花弁に暖かい日の光が注いでいる。

ミツバチがりんご畑を飛び回り、光を集めながら10分している。遠くで、農家の飼っている犬が吠えている。自分の中にある甘い蜜を味わってみる。自分自身が、ヒ陽の光、土、空気、ミツバチ、季節を含めた不思議な複雑な自然の流れの部になっていることを感じる。心地よい感じだ。

ここで、りんごの花以外のものになってみよう。リンゴの木になった。花をつけている枝に注意を向ける。樹液が葉や花にエネルギーを与えている。樹液があなたの中を流れていく。エネルギーの流れが道を通っていく。幹にみなぎる力を感じる。熟したリンゴの実をたくさんつけた枝を支えるため、強い風に耐えるため、強くならなければならない。木の堅さ、肌の表面の荒い手触りを感じる。

今度は、注意を幹の下の方、根に向けてみる。暗く湿った土。暗さを感じてみよう。豊かな土の香りをかぐ。太ったミミズや土を耕す他の生物が見える。冷たい湿り気。湿った土と岩の手触り。あなたの根は生命を与える水と栄養分に届く。木から離れる。湿った畑の水そのものになって、あなたが育てている草や野生の花を感じる。あなたは、大きな自然と言う概念の一部である。あなたは生命の源だ。あなたは大自然の中の一部だ。果樹園に水が溢れ、陽の光によってあなたは十分に熱せられ、空に上っていく。陽の光で蒸発し、液体だったあなたは蒸気になる。

あなたを構成する分子は、光輝く太陽に向かって青空を上昇する。あなたは、他の蒸気と一体になってふわふわと浮かぶ雲になった。眼下に広がる大地、細かく区分されたりんご畑。あなたは、青空にふわふわと浮かんでいる。静かで、大きくうねり、驚くほど自由だ。遠くで鷹が円を描いている。あなたは、自然のサイクルの一部だ。

さて、空が暗くなってきた。涼しくなり、風が出てきて、あなたの雲を吹き抜ける。あなたは他の水の分子と一緒になって雨粒となる。冷たい灰色の空を落ちていく。どんどん落ちる。緑色をしたリンゴの木の葉に落ちて跳ね返り、地面、土、根、強い幹、枝、葉、花、りんごを育てている樹液の上にあたる。

あなたは、木になっているりんごだ。周りは果樹園、雨が降っている。雨が葉に当たる音が聞こえる。冷たい風が吹き荒れて木の枝を揺らしている。湿った土の匂いがする。あなたであるりんごは、この自然の不思議な働きによって生まれ、あなたの中であなたになる。同時に、あなたは、この創造的な調和を構成する一部だ。ここで、本当の自分に立ち戻ってあなたは今ここで、この本質的で、永遠に創造的な調和の部であることを心地よく感じている」